約 211,538 件
https://w.atwiki.jp/mars2011/pages/45.html
オンラインで遊ぶ新キャンペーン(2020/05/09) GM クロ PL 任意参加 システム:GURPS サプリメント:妖魔夜行、サイバーパンク キャンペーン趣旨 キャンペーン環境 ルール 世界設定
https://w.atwiki.jp/quizmagicianblackcat/pages/3365.html
闇を纏いし神父 カフカ 属性 水 MAX Lv 60 Aスキル 神罰です 潜 在 能 力 (1段階) (2段階) ランク A+ HP 1,889 Sスキル ブリジットランス (10) (3段階) (4段階) コスト 47 攻撃 2,190 進化元 闇に魅了された神父 カフカ (A) (5段階) (6段階) No.1175 種族 ? 編集 進化先 闇の堕天神父 カフカ・ウィーグラフ (S) (7段階) (8段階)
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/166.html
東北大学SF研究会 翻訳部会(2018/10/11) The Great Silence(邦題:大いなる沈黙) 著者紹介 テッド・チャン(Ted Chiang) 1967年アメリカ合衆国ニューヨーク州ポート・ジェファーソン生まれ。両親は中国系アメリカ人一世だが、本人は英語母語話者であり、中国語の読み書きはほとんど出来ないという。代表作に『バビロンの塔』『あなたの人生の物語』など。 寡作で知られる作家で、30年近い活動期間にも関わらず、発表した作品は15作に過ぎない。そのうえ作品はすべて中・短篇であり、長編はひとつも存在しない。テッド・チャンは「現代SF二巨頭」としてグレッグ・イーガンと並んで最も優れた作家として絶賛されているが、それは数少ない作品のすべてが圧倒的な完成度を誇るためである。(チャンに対する期待の高さは、チャンがある小説に解説文を寄せたというだけで話題になるほど) 全15作のうち、ヒューゴー賞・ネビュラ賞の受賞作は6作(うちダブルクラウン3作)で受賞率が4割を超えており、極めて異常な事態と言わざるを得ない。 今回扱う”The Great Silence”は、15年に発表された現状テッド・チャンの最新作にあたる作品である。(一応"Omphalas”、”Anxiety Is the Dizziness of Freedom”という作品の存在が公表されているが、これらは19年発売の単行本”Exhalation; Stories”にて発表される予定のため、本作が発表済みの最新作となる) 訳者解説 「絶滅寸前のオウム」と「アレシボ天文台」という、地理的に隣接しつつも全く共通点の見えない題材から、チャンは魔法のように鮮やかな筆致で、思いもよらない共通点を描き出してしまう。大変短い作品だが、チャンの醍醐味を味わうことの出来る傑作であると言える。 自らの滅亡を悟ったものが、科学的根拠と結びつけてそれを示唆する、という展開は某名作に共通するが、悟りと示唆のプロセスに焦点をあてた当該作とは異なり、本作ではその伝達のプロセスに焦点があてられる。 「ヨウムのアレックス」「オウムのコンタクトコール」「アレシボメッセージ」という科学的根拠から、チャンは「いい子でね。愛してる。」という言葉を導き出す。表では人間への諦観と慈愛を、裏では「静かにしないと、こうなるからね」という諫言を表した言葉だ。(訳者としては本来はばかるべき言動ではあるのだが、この一言こそ、SF史上最高のメッセージだと思う。) 作中で語り手のオウムは人間の想像力を讃えていたが、真に讃えられるべきは、我々のような凡百のそれではなく、チャン自身のそれであるべきだ。 ☓
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/12.html
4月~5月に行う予定の新入生歓迎企画です。気軽にご参加ください 課題本は来てくだされば貸し出しできます 部室について 基本的に部会はより広くて快適な教室を借りて行っていますが、部会に都合などで出られないがどういう活動をしているか知りたい、課題本が手に入らないので貸してほしいという場合はSF・推理研合同部室へどうぞ。 場所は川内北キャンパス北側入り口(川内郵便局近く)、マルチメディア棟/C棟向かいの旧サークル棟の中で一番南にある建物G-15です。窓の「SF研 推理研」の文字が目印になります。 部室の外見 企画 2024年度に行う予定の新歓企画は以下の通りです。 決まり次第随時更新していきます。 一年中新規部員を歓迎していますので、新入生も新入生以外も気軽にお越しください。 2024年度の新歓企画 映像 4/16 映画『ガメラ2』@C104 漫画 4/9 手塚治虫『火の鳥』(黎明編、未来編、ヤマト編、異形編)@C106 長篇・短篇集 4/24 ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』@C301 4/26 椎名誠『アド・バード』@部室
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/107.html
2011年1月28日 東アジアのSF小説の日本での紹介の歴史を少し調べてみると、中国語SFの紹介が今から30年前、1980年頃から『S-Fマガジン』誌上などで行われていたのに対して、韓国SFの日本での紹介というのはほとんど行われてこなかったようである。北原尚彦「日本語で読める韓国SF」(『ミステリマガジン』2000年10月号)では、韓国の小説が3作品紹介されているが、改変歴史SFが1作と、近未来軍事シュミレーションSFが2作であり、必ずしもSF的なSFではない(ほかに、SFからはやや外れるとの注釈つきで、『朝鮮幻想小説傑作集』(白水社Uブックス)が紹介されている)。 ネット上でも韓国SFについて述べている日本語のページは少ないが、「韓国SF」などの検索ワードで検索すると、まず以下の2つのページに行き当たる。この2つが、ネット上で日本語で調べられる範囲においては、韓国SFについての最も基本的な文献ということになるだろう。 知られざる韓国SFの世界 (SF評論家 風野春樹氏のサイト「サイコドクターあばれ旅」に掲載。2001年7月28日掲載、最終更新日2001年8月1日) 韓国SF界の歴史と現状(禹 夏栄(ウ・ハヨン)) (SF作家 石原藤夫氏のサイト「オロモルフのホームページ」に掲載。『ハードSF研究所』公報 VOL.97、2004年12月) どちらも韓国SFの歴史や当時の現状が丁寧にまとめられており、当時あまり知られていなかった韓国SF史を日本語で紹介する先駆的な試みである。(ただし、公募SF短編・中編賞の「科学技術創作文芸」で1970年代後半生まれの若手作家の発掘が進んだり、韓国オリジナル作品の短編SFアンソロジーが定期的に刊行されるようになったり、日本SFの韓国での紹介が進んだりするのは、この2つの文献が書かれたあとのことである) このページでは、ミステリ読者の観点でこれらの2つの文献を読みつつ、リンク切れの箇所や情報が古くなってしまった箇所の補足などをしていきたい。 なお、上記の2つのページはSFの専門家の方々の手によるものだが、私は必ずしもSFには詳しくないのでご了承ください……。 Index 「知られざる韓国SFの世界」に関するメモ 「韓国SF界の歴史と現状(禹 夏栄)」に関するメモ「2.1950年以前」 「4.1960年代」 「5.1970年代」 「6.1980年代」 「8.1990年代以後」 「11. SF専門ムック誌『Happy SF』の巻頭言」 その後の日本での「韓国SF」紹介 「知られざる韓国SFの世界」に関するメモ 知られざる韓国SFの世界 (SF評論家 風野春樹氏のサイト「サイコドクターあばれ旅」に掲載。2001年7月28日掲載、最終更新日2001年8月1日)読冊日記2001年7月下旬 (上記記事掲載の経緯) - なお、7月23日の日記から数日の間出てくる韓国のSFマニア「ハンドングジン氏」とは、後に『京城探偵録』で推理作家としてデビューするハン・ドンジン氏である。 韓国のジャンル小説専門サイトemazine.com【注:リンク切れ】というところに、韓国のSF出版史やファンダム史をまとめたページがいくつかあったので、そこの記述を参考に、日本ではほとんど知られていない韓国SF史をまとめてみたい。 風野氏が「知られざる韓国SFの世界」の記事を書くにあたって参考にしたサイト「イマジン」は、1990年代後半からSF叢書「グリフォンブックス」を刊行していた時空社のジャンル文学Webマガジン。すべての記事を引き継いだまま「ドラゴンブックス」、「ディゲン」と名前が変遷し、2003年冬に幕を閉じたとのこと(こちらの掲示板の書き込みより)。 さて、何の気なしに調べていて驚いた。「イマジン」の後継サイト「ディゲン」を運営していたのは、なんとこのサイトからもリンクを貼っている韓国最大のミステリ情報サイト「HOWMYSTERY」の運営者decca(윤영천、ユン・ヨンチョン)氏だという。まさか、こんなところでミステリ関連情報に出くわすとは……。decca氏の個人ブログはこちら。 なお、当時の「イマジン」はInternet Archiveのこちらで見られる。 だから、韓国では大部分のSFファンが、SFを買うときにはオンライン書店を利用しているそうである(参考・韓国のオンライン書店のSFの棚(日本語訳)【注:リンク切れ】)。 リンク切れ。ネット書店アラジンのSF小説一覧のページ。新しいものから順に並んでいる。現在の正しいリンクはこちら。(アドレスの「aladdin」が「aladin」に変わっただけ)。ちなみに、アラジンではSF小説は、「国内図書>文学>本格ジャンル小説>SF小説」と分類されており、「本格ジャンル小説」には他に、ロマンス小説、武侠小説、ミステリ小説、ファンタジー小説、ホラー小説が含まれている。アラジンのページで6つのジャンルのうちSFが一番上に配列されているのは特に意味はなく、単に韓国語の辞書順になっているというだけのことである。「ライトノベル」は「本格ジャンル小説」には含まれず、「文学」カテゴリの下に直接位置づけられている。 韓国SF出版の最初の全盛期は、1970年代中盤である。ただし、このとき出版されたのは児童向けSF。当時の推理小説ブームに便乗して、「東西推理文庫」と「アイデア会館」というふたつの児童向け文庫が次々にSFを出版。現在、20代中盤から30代くらいまでのSFファンの多くは、幼いころにこの2つのシリーズの洗礼を受けているそうだ。 ちなみに、アイデア会館のSF出版リストはここ(書影つき)【注:リンク切れ】。ラインナップを見て驚いたのだけれど、『27世紀の発明王』『合成脳の反乱』『超人部隊』『ロボット・スパイ戦争』などなど、どこかで見たようなタイトルばかり。こりゃ、タイトルのつけ方といいセレクションといい、日本のジュヴナイルSF叢書そっくりではないか。調べてみると、どうやら、前半は岩崎書店の「エスエフ世界の名作」、後半はあかね書房「少年少女世界SF文学全集」と岩崎書店「エスエフ少年文庫」を使っているようだ。たぶん訳も日本語からの重訳なんじゃないかなあ("The Cybernetic Brains"を、日本と韓国でまったく独立に『合成脳の反乱』と訳すなんて考えられない)。 アイディア会館(아이디어회관)の出版リストはリンク切れ。おそらくアイディア会館全巻電子化プロジェクトの「チクチプロジェクト」(직지 프로젝트)公式サイトにリンクを貼ったもの。現在の書影付きリストのページはこちら(中身も読める)。なお「チクチプロジェクト」の「チクチ」は漢字で書くと「直指」で、世界最古の金属活字本「直指心体要節」(ちょくし しんたい ようせつ)のこと。 アイディア会館については分からないが、「東西推理文庫」は日本語からの重訳である(鄭泰原(チョン・テウォン)「韓国ミステリ事情」(早川書房『ミステリマガジン』2000年10月号)参照)。 SFが沈滞する間にブームになったのは、というと、これが実はファンタジー。1998年には韓国産ファンタジー『ドラゴンラザ』が爆発的に売れたことにより出版界にはファンタジー・ブームが巻き起こる。この『ドラゴンラザ』、17歳の少年を主人公にした異世界ファンタジーで全12巻、のちにアニメ化、ゲーム化もされたとか。 この記事が執筆された4年後に日本でも翻訳刊行されたイ・ヨンド『ドラゴンラージャ』のことである。原書はこちら。この作品は、台湾版、中国版も刊行されている。英語版は未刊行。昨年(2010年)末からは、『ドラゴンラージャ』の続編『フューチャーウォーカー』も日本語訳の刊行が進んでいる。 SFが少しずつ息を吹き返してきたのは1999年。100億ウォンの巨費を投じた怪獣映画『ヨンガリ』が話題になり、一般人の関心がSF映画を通してSFへと集まったのである。「ファンタジーの次はSFだ!」のかけ声が高まったが、公開された『ヨンガリ』は大宣伝にもかかわらずトホホな作品だったこともあり、結局SFブームは火がつく前に終わってしまった。 この記事が執筆された1年後に、日本では「怪獣大決戦ヤンガリー」というタイトルでDVDが発売されている。 そして、1999年から2000年にかけて、かつてSFファンに夢を与えてくれた1970年代の「アイデア会館」のSF50数冊を電子化するプロジェクトが行われた。このプロジェクトには80人余りのSFファンが参加、完成した1000枚のCDをSFファンに無料で配ったという(www.sfjikji.org【注:リンク切れ】)。 現在の正しいリンクはこちら。 そしてついに、2001年7月28日から29日にかけて、第1回韓国SF大会【注:リンク切れ】が開かれ、300人のSFファンがソウルに集まった。 サイトはなくなっている。当時の「韓国SF大会」のページはInternet Archiveのこちらで見られる。その後、韓国SF大会の類が開かれているのかどうかは未調査。 ただし、現在のところ、翻訳SF専門の叢書は「グリフォン・ブックス」【注:リンク切れ】ひとつだけだし、既刊もたった17冊にすぎない。 現在の正しいリンク(ネット書店アラジンのグリフォンブックス一覧)はこちら。「グリフォンブックス - 韓国語版Wikipedia」によると、グリフォンブックスは第1期が全18巻で完結したのち、2005年ごろまで第2期(とファンが呼んでいる)が刊行されていたようである。第2期は、第1期作品の一部の再刊と、新作を含む。 日本SFはどうかというと、これもあまり訳されていないよう。日本アニメやマンガが大量に輸入されているわりには、翻訳された日本のSFは田中芳樹『銀河英雄伝説』、大江健三郎『治療塔』、筒井康隆『島をのんだイルカ』(←なんだこれ)くらいのものだ。SFに限定しなければ小野不由美『魔性の子』『屍鬼』、宮部みゆき『火車』、島田荘司『占星術殺人事件』、京極夏彦『百鬼夜行 陰』(これだけ翻訳して意味がわかるんだろうか)、貴志祐介『黒い家』、田口ランディ『コンセント』など多数の小説が訳されているのだけど。あ、そうそう山之口洋『オルガニスト』も翻訳されてました(なぜか分類はミステリ)。 ネット書店アラジン内の著者ページに新たにリンクを貼った。リンク先は韓国語の書籍だけでなく、日本語の書籍(原書)や英訳本も一緒に表示されるので、韓国で刊行されたもののみを一覧するには、「全体作品、国内図書、外国図書」(전체작품 국내도서 외국도서)と並んでいるうちの真ん中の「国内図書」(국내도서)をクリックしてください(直接そこにリンクを貼る方法が分からなかったので……)。 もともとリンクが貼られていた筒井康隆『島をのんだイルカ』は『心狸学・社怪学』の翻訳で、現在のリンクはこちら。山之口洋『オルガニスト』の現在のリンクはこちら。『心狸学・社怪学』は、1997年と2004年には『人間動物園』というタイトルでも翻訳刊行されている。 島田荘司については、以前に韓国での刊行リストを作ったので興味がある方はこちらを参照してください。 京極夏彦はこの記事に書かれているように、なぜか最初に『百鬼夜行 陰』が翻訳され2000年9月に刊行(現在品切れ)、その後2004年3月になってやっとシリーズ1作目の『姑獲鳥の夏』が翻訳され、2010年までにシリーズ4作目『鉄鼠の檻』まで刊行されている。 韓国での日本SFの刊行については詳しく調べていないが、最近では例えば、冲方丁『マルドゥック・スクランブル』(2007年3月~5月、全3巻)、神林長平『戦闘妖精・雪風』(2007年12月~2008年5月、3巻まで刊行)、伊藤計劃『虐殺器官』(2010年2月)、山本弘『シュレディンガーのチョコパフェ』(2010年2月)、飛浩隆『グラン・ヴァカンス』(2010年4月)、『ラギッド・ガール』(2010年7月)、小川一水『復活の地』(2010年5月~、最終巻(3巻)は未刊行)などが刊行されている。韓国版『戦闘妖精・雪風』は、1巻が『戦闘妖精・雪風 改 』の翻訳、2巻と3巻が『グッドラック - 戦闘妖精・雪風』の翻訳のようである。 『マルドゥック・スクランブル』と『戦闘妖精・雪風』は韓国のライトノベルレーベル「NTノベル」で刊行されている。上に挙げた他の作品は、「NTノベル」と装丁などが差別化された(そして値段も高くなった)「NT Library」で刊行されている。 「韓国SF界の歴史と現状(禹 夏栄)」に関するメモ 韓国SF界の歴史と現状(禹 夏栄(ウ・ハヨン))SF作家 石原藤夫氏のサイト「オロモルフのホームページ」に掲載。『ハードSF研究所』公報 VOL.97、2004年12月 「2.1950年以前」 ◎韓国にSFが最初に紹介されたのは、李海朝によるヴェルヌSFの翻案『鉄の世界』だと考えられる(*1)。 李海朝(1869~1927)は新小説の開拓者で、帝国新聞と毎日新報に30篇あまりの新小説を発表しているが、それらは新しい教育と開化思想を普及しようとしたものなので、『鉄の世界』の翻案もそのような意図からであろう。 その後研究が進んだのか、東亜日報2007年4月13日付の記事「SF小説は未来社会の問題を解くカギ - 韓国SF小説100年」(韓国語)によると、現在(2007年現在)では韓国での最初のSFの紹介は1908年の『鉄世界』ではなく、1907年の『海底二万里』(韓国語タイトル:해저여행기담、漢字表記:海底旅行奇譚)とされているようである(ただし、『海底旅行奇譚』は連載が中断しているとのこと)。なお、引用中では『鉄の世界』とされているが、韓国語タイトルは『철세계(鐵世界)』なので、日本語に訳すのなら『鉄の世界』とするよりそのまま『鉄世界』とした方がいいだろう。 『鉄世界』の韓国語への翻訳者・李海朝(り・かいちょう/イ・ヘジョ)については、Wikipedia韓国版に記事がある→ 李海朝 - 韓国語版Wikipedia。 なお、李海朝は、1908年末から1909年初めにかけて、朝鮮最初の探偵小説『双玉笛』(サンオクチョク)を新聞連載している。 韓国の『鉄世界』は、現在Wikisourceで全文公開されている→ 철세계(鐵世界) 。(古文なので、機械翻訳では太刀打ちできない) こちらで韓国の『鉄世界』の現物の写真が見られる→ 韓国国立中央図書館『鉄世界』。 また、引用文中にある韓国の「新小説」についてはこちら→ 新小説 (朝鮮) - Wikipedia。 [オロモルフによる注(*1): 『鉄の世界』だけでは原作を完全に特定する事はできませんが、おそらく“Les 500 Millions de la Begum”(明治12年/1879年発表)でしょう。 この作品は、日本では明治20年に翻案出版され、『鉄世界』という題名で有名です。 インド王妃の遺産をついだ二人の科学者がいて、一人は科学の粋を集めた理想都市をつくり、一人は新兵器を開発し鋼鉄の都市をつくって死の商人になる――という話です。 (オロモルフもパラパラとしか読んでおりません) で、韓国の『鉄の世界』も日本の『鉄世界』も、鋼鉄の都市をつくって鉄の兵器を作った話からつけられた題名でしょう。 元の題の直訳は『ベガンの五億フラン』で、ベガンはインド王妃の名で五億フランは遺産の額です。したがって戦後の日本での題は『インド王妃の遺産』となっています。 『鉄の世界』という訳題は、原題からは生まれてこない創作訳ですから、偶然韓国が日本と同じ訳題になるとは考えにくく、明治日本の訳からの重訳である可能性が高いと思われます。 なお日本におけるSF翻訳は明治初期から数え切れないほどあります。また創作も江戸時代からかなりありましたが、明治期には破天荒なSFがたくさん書かれました。] 引用中で石原藤夫氏(オロモルフ氏)は、韓国の『鉄世界』がヴェルヌの"Les 500 Millions de la Bégum"(1879)の森田思軒による日本語翻案『鉄世界』(1887)の重訳であろうと推測しているが、上記の韓国国立中央図書館のページを見ると、この推測は半分は正しいようである。韓国国立中央図書館のページによると、確かに韓国『鉄世界』は元をたどれば"Les 500 Millions de la Bégum"(1879)だが、森田思軒による日本語版『鉄世界』からの翻訳なのか、包天笑(ほう・てんしょう/バオ・ティエンシャオ)による中国語版『鉄世界』からの翻訳なのかは分かっていないようである(きちんと研究すればすぐ分かりそうなものだが…)。 なお、日本語の『鉄世界』は"Les 500 Millions de la Bégum"(1879)の英訳本からの翻訳であり(参考:樽本照雄「包天笑翻訳原本を探求する」清末小説研究会『清末小説から』第45号(1997年4月))、中国語の『鉄世界』は日本語からの翻訳である。つまり、韓国語版『鉄世界』は以下のどちらかのルートをたどって成立したことになる。 フランス語(ヴェルヌ)→英語→日本語(森田思軒)→韓国語(李海朝) フランス語(ヴェルヌ)→英語→日本語(森田思軒)→中国語(包天笑)→韓国語(李海朝) なお、日本語の『鉄世界』は国立国会図書館 近代デジタルライブラリーで全ページの画像ファイルが公開されている。 「4.1960年代」 ◎韓国のSF史には1965年にひとつの記録がある。 『週刊韓国』で主催した第一回の推理小説公募に、ムンフンソングの『完全社会』というSFが入選したのだ。 ◎この作品は、人工冬眠に入った主人公が遠い未来に目覚めてみると、全世界が女性の共和国に変わっていたという設定のSFである。またハングル慈母(朝鮮言語)が世界の公用語になっているという面白い仮説を拡げている。 ◎このSFは、文体などはぎこちないが、韓国のSF史上で最初の本格SF長編である。 ミステリ読みからすると、1965年に韓国で推理小説の公募が行われていたというのはかなり興味深い情報である。ちなみに、韓国の社会派ミステリの大家キム・ソンジョン(金聖鍾、長編の邦訳に『最後の証人』、『ソウル 逃亡の果てに』)が朝鮮日報主催の文芸コンテストに入選してデビューしたのはその4年後の1969年のことである。 単純な間違いから指摘しておくと、「慈母」は「字母」の間違いで、「ハングル字母」つまりハングル文字のこと(日本語でも韓国語でも、「慈母」と「字母」は同じ発音)。 『完全社会』(완전사회)の作者は正しくはムン・ユンソン(문윤성、文允成)。前掲の東亜日報2007年4月13日付の記事「SF小説は未来社会の問題を解くカギ - 韓国SF小説100年」(韓国語)によるとこの作品は(引用文中とほぼ同じ説明だが)、コールドスリープで眠りについた男性主人公が、100年後の女性しかいない時代に目覚めて苦しむというストーリーで、「単性」社会の問題点を指摘するものだという。東亜日報の記事で書影も見られる。なお、『完全社会』は1985年に『여인 공화국』(女人 共和国)というタイトルで復刊されている。 ◎一方、韓国で初の科学専門記者の一人のソクァンウンは、当時刊行された『学生科学』誌に自分で書いたSFを連載した。 また彼は、何人かの若者向けの作家とともに、1960年代末に「韓国SF作家クラブ」を結成した。 「ソ・グァンウン」とするのが一般的。ハングルでの表記は「서광운」。 「5.1970年代」 ◎韓国では、1970年代の末になって、外国のジャンルSFの翻訳がされ始めた。 日本の文庫SFからの重訳などであるが、「東西推理文庫」は本格大人向けSFを多数出版した。これは韓国で初めての事であった。 この文庫を通じて、レイ・ブラッドベリやアルフレッド・ベスターやヴァン・ヴォクトなどのSF作家たちが、韓国に初めて紹介された。 「東西推理文庫」は、韓国ミステリ史について調べていると必ず出てくる叢書である。その名の通り推理小説を多く翻訳した叢書だと思っていたが、どうやらSFも訳していたようである。 「東西推理文庫」(동서추리문고)は1977年に刊行開始、全127巻(鄭泰原(チョン・テウォン)「韓国ミステリ事情」(早川書房『ミステリマガジン』2000年10月号)参照/ネット上では、全128巻でそのうち2冊が未刊行との情報も出てくるが……)。この叢書は韓国内で一大推理ブームを起こし、その後も古書店等で高値で流通し、ミステリマニアにとってはあこがれの叢書だったという。東西推理文庫は2003年に再刊されている(詳細未調査)。 「6.1980年代」 ◎しかし1980年代後半になって、韓国SFの創作で注目すべき成果が出始めた。 1987年にボックゴイルは架空歴史SF『悲鳴を探して』を発表して、文学性と商業性で成功した。 また何人かの既成文壇の作家がSFに手を染めた。 ここで言われている作品はポク・コイル(卜鉅一、복거일)の『碑銘を求めて』(비명을 찾아서)のこと。「悲鳴」と「碑銘」は日本語でも韓国語でも同音異義語なので、そのための間違いだと思われる。『碑銘を求めて』は、1987年に『京城(けいじょう)・昭和六十二年 - 碑銘を求めて』(川島伸子訳、成甲書房)というタイトルで日本でも出版されている。 ポク・コイル氏は、2004年から2006年まで3回行われた韓国の公募SF短編・中編賞「科学技術創作文芸」(→ 科学技術創作文芸 - Wikipedia)の選考委員を務め、後進のSF作家の発掘にも貢献している。 「8.1990年代以後」 ◎パソコンの普及によって、ネットを中心に本格的なSFファンクラブが出来るようになった。 △千里眼通信<素敵な新世界>(1989年) △ハイテル通信<科学小説同好会>(1992年) △ナウヌリ通信<SF2019>(1994年) これらが1990年代初期にできた。 (中略) ◎SFファンクラブの結成は何人かのSF作家を誕生させたが、市場の沈滞によってわずかに命脈を保つのみになった。 ◎唯一の収穫はDJUNAという作家を得たことであった。 「DJUNA」は「デュナ」(듀나)と読む。覆面SF作家。Wikipedia参照→ デュナ - Wikipedia。 デュナは2010年現在も活躍しており、韓国版『ファウスト』にも短編が数回掲載されている(講談社の文芸誌『ファウスト』の韓国版には、日本の作品とともに韓国オリジナルの作品が毎号数編ずつ掲載されている)。 パソコン通信の「千里眼」「ハイテル」「ナウヌリ」や「ユニテル」は、韓国のファンタジー作家やSF作家、ライトノベル作家について調べているとよく見かける単語である。 ◎これとともに、ゾングサングドンを中心に、過去の一次全盛期に発刊されたアイディア全館文庫のデジタル化作業である「Jikjiプロジェクト」がSFファンの手で進行した。 (中略) ◎一方「Jikjiプロジェクト」は、2000年5月5日に完成させる快挙をなした。 チクチプロジェクトの代表者名については、「チョン・サンドン」と表記するのが一般的。ジュヴナイルSF叢書「アイディア会館」全巻のデジタル化プロジェクトは、5月5日、子供の日に完了した。チクチプロジェクトのWikipedia記事はこちら→ チクチプロジェクト - 韓国語版Wikipedia。 「11. SF専門ムック誌『Happy SF』の巻頭言」 ◎2004年9月17日のこと。 科学小説専門ムック誌『Happy SF』が創刊されたそうです。 SF雑誌『Happy SF』は、2004年9月に創刊号、2006年11月に2号が刊行され、その後は途絶えている。SFを扱う雑誌としては、ほかに2007年4月に創刊されたジャンル小説専門月刊誌『ファンタスティーク』があったが、これも2009年に季刊化、2010年に再月刊化と紆余曲折を経たのち、2010年3月の第24号をもって休刊となった。『ファンタスティーク』は現在はWebマガジンとして継続している→ Webマガジン fantastique。 その後の日本での「韓国SF」紹介 上で解説した「知られざる韓国SFの世界」は2001年の記事、「韓国SF界の歴史と現状」は2004年の記事であり、韓国SF界の現状というにはやや古くなってしまっている。 その後に書かれたものとしては、『S-Fマガジン』2009年10月号に掲載された「大森望の新SF観光局第8回 テッド・チャン経由コリアSFレポート」があり、「韓国翻訳SF事情」として1970年代の《東西推理文庫》および《アイディア会館》から、2000年代の《Happy SF》関連叢書までが紹介されている。 韓国での翻訳状況ではなく、韓国のオリジナル作家を紹介する試みとしては、昨年(2010年)の第49回日本SF大会で「韓国SF入門」という企画があったようである。この「入門」と題された企画名に見られる通り、日本ではまだ韓国のオリジナルSFについてはほとんど知られていない。今後の紹介に期待したい。 韓国SFメモに戻る
https://w.atwiki.jp/gtasa-vehicles/pages/536.html
ハウスミュージックを流しているラジオ局。サンフィエロの秘密の場所から放送している、とのこと。 ドイツのハウスミュージック愛好家、ハンス・オーバーランダーが主催している。彼はバイリンガルで、英語とドイツ語両方を話すことができ、放送内でもよく2ヶ国語で喋っている。
https://w.atwiki.jp/qusf/pages/24.html
活動内容 毎日毎日誰かが部室で何かしらをやっており、 「あいつら部室に住んでんじゃね?」と他サークルからお褒めの言葉をいただいております。 がっこうぐらしだ!やったー! ゲーム、読書、カード対戦、お昼寝、好きなことを好きな時に。 わたしのルールは、わたしが決める! これがSF研のよさの1つです。 何かを広めて、みんなで楽しむのもまたよし。みんな染まりやすいったらありゃしない。 定期的な活動としては 読書会(SFにまつわる課題図書を読み、みんなで意見交換)←でも最近はやってないなぁ 月報発行(好きなことを書くといいよ) 他には学園祭での立体制作、合宿などがあります。 1年間 4月 新歓コンパ ドキドキしながら新入生を待ってます 5月 春合宿 新入生がSF研の真の姿を見るところ 6月 お返しコンパ 1年生から先輩へ~まごころを君に~ 7月 そろそろ単位を諦める人が生まれる 8月 そろそろ新入生も慣れてくる頃かな? 9月 九S機構夏季合宿 みんな大好き夏合宿。大分大学さんと合同です 10月 秋合宿 怒涛の合宿ラッシュ。一体どれだけ合宿が好きなのかと 11月 学祭(現在は10月です) 巨大模型展示。1年生が頑張ります 12月 クリスマス会 昔はやってたらしい(やりたいなら企画してもOK) 1月 あけましておめでとうございます。 2月 九S機構冬季合宿 大分大学さんと合同合宿。いつもお世話になります 3月 追い出しコンパ 先輩、追い出されてください! 興味をもってくれたあなたは 部室に遊びに来てくだされば、みんながオロオロしながらも心をこめておもてなしいたします。 最近リニューアルされたキャンパス・伊都にて活動します。教室はサークル棟の310です。 その他何かわからないことがあれば、お気軽にメールを下さい qsfcomm★gmail.com (★を@に変えて下さい)
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/244.html
東北大SF研 読書部会 「ビット・プレイヤー」 グレッグ・イーガン 著者紹介 グレッグ・イーガン (Greg Egan) 1961年オーストラリア西海岸パース出身。西オーストラリア大学で数学の理学士号を取得。この間に自主映画製作に手を染め、専門学校にも入るがすぐに退学。その後は病院付属の研究施設でプログラマーとして勤務していた。SFは子供のころから読んでいて、1950年代の黄金時代の作家から1960年代のニューウェーヴ作家までが守備範囲だったようだ。特に入れあげていたのがラリー・ニーヴンとカート・ヴォネガット。その後は主流文学に興味が移るが、グレッグベアの『ブラッド・ミュージック』でSFに再び惹かれる。覆面作家として知られ、その正体にはさまざまな説が唱えられている(美少女説、AI説、ただの白人のおっさん説など)。 現代ハードSFを代表する作家であり、主な著作として長編では『ディアスポラ』、『万物理論』、中短編では『祈りの海』、『幸せの理由』などがある。 あらすじ サグレダが目覚めると、そこは全てが“傾いた”世界であった。ガーサーと名乗る女性から〈大災厄〉という地球の重力が東向きに働くようになった〈変化〉があったことを告げられるが、既存の物理学と照らし合わせると様々な矛盾点が浮かび上がる。サグレダの粘り強い問答の結果、ガーサーはそこがデジタルなゲーム世界で、彼らはその端役〈ビット・プレイヤー〉であることを告白する。ガーサーの集落の端役たちはその出来の悪い世界と自らの境遇に諦念を示し、設定に従って生きることを選んでいたが、サグレダはゲームエンジンと設定の穴を突き、彼らの生活を改善することに乗り出す。 解説 アインシュタインの等価原理 無限小の領域では、加速度と重力加速度は区別できない(慣性質量と重力質量は等しい)という原理。または、慣性系で成立する物理法則は全て等価であるということ。「落下する(もちろん潮汐力の影響のない大きさの)エレベーターの中にいる人は、自分が無重力空間にいるのかただ落下しているだけなのか区別できない」という形で知られている。 2つの物体が落下しているとき、それらは同じ慣性系にあるので、互いに等速直線運動をしているように見える。つまり速度のベクトルが変化していないように見えるはずなのだ。これが作中のサグレダの指摘の論拠である。 保存則 時間並進対称性と空間並進対称性から外力のない系ではエネルギーと運動量が保存する。落下する物体が1周回って元の位置に戻ってくる(加速しながら)ならば、無限にエネルギーを取り出せることになる。そこで、地球-物体系の保存則を成り立たせるために物体が加速する分地球が減速すると考えると、エネルギーと運動量の保存から重い物ほど遅く落ちなければならなくなる。 所感 イーガンらしい新奇なアイディアの作品。イーガンの他の作品と比べると、数学的議論や詳細なナノテクノロジーのギミックなどもなく、要るとしても少しの物理的知識だけであり、初めて触れる人でも非常に読みやすくなっている。しかし彼の持ち味は決して失われていない。前半の状況証拠から仮設を組み立てて検討してを繰り返し、結果的に世界の真の姿を明らかにするのはハードSF的な面白さをシンプルに凝縮したもので、後半ではそれを倫理的、社会的問題と絡めて登場人物個人の苦悩を描いており、これはイーガンの得意とする展開だ。そんな訳で、これから人にイーガンを勧めるときはまず初めにこの短編を渡してみようと思う。 日本のサブカルに明るい人々にとっては、ゲーム的な設定の(出来の悪い)世界に転生するという展開はある種の作品群に対しての皮肉に思えるが、十中八九イーガンは知らないだろう(2014年にはそもそも異世界転生とかは流行ってなかったか)。しかし、登場人物達が現実世界のことについて語っていたり、矛盾のある世界設定だったりするのは、イーガンなりの(出来の悪い)ハイファンタジーに対するギャグなのかもしれない(人間以外の種族や魔法が古くから存在する世界ならば、現実の中近世のような文化だったり武器だったりがあるのは変じゃない?)。
https://w.atwiki.jp/zgok0079/pages/398.html
進化論 7 名前:名無しは無慈悲な夜の女王 投稿日:2006/10/14(土) 09 30 37 「進化論」異形コレクション・井上雅彦編 進化がテーマなのでホラーだけではなくSF寄りの作品も多い。私の好みから べスト3を選ぶなら次のとうり。 上田早友里「魚舟・獣舟」 「火星ダークバラード」はまずまずの出来だったがこれはなかなかの秀作だ。 今年の国産短編SFの中でも上位に入ると思う。 平谷美樹「量子感染」 題名どうり量子論による進化(ていうか退化なんだけど)を描いてるんだけど 一種のバカSFだね。 八杉将司「娘の望み」 望みをかなえるために世界そのものを変革してしまうところが凄いね。 編者の井上雅彦の作品はたいしたことないね。というところで7点。
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/247.html
東北大SF研 読書部会 「鋼鉄都市」アイザック・アシモフ 著者紹介 1920年ソビエト連邦ペトロヴィッチ生まれ。3歳で家族とともにアメリカに移住し、アメリカ国籍を取得。1992年没。代表作は「ロボット」シリーズ、『鋼鉄都市』、「ファウンデーション」シリーズ、「黒後家蜘蛛の会」シリーズなど。 SFやミステリを中心に、科学や神学、歴史を扱った著作でも知られ、ボストン大学の生化学の教授でもある、れっきとした科学者出身の作家である。(ただ、教授職は肩書だけであり、教授として正式に大学で仕事をしていたわけではない) ハインライン、クラークと並び、海外SF御三家として知られ、現在のSFというジャンルを築き上げた偉大な作家のひとり。特にロボット工学の発展に関しては、アジモフ抜きには語れないほど大きな影響を及ぼした。 「アジモフ」と書いたが、本人はas is of のsをm、fをvに変えて発音してくれと言っていたので、一般的に知られる「アシモフ」よりは本来の発音に近い。 ロボット工学の三原則 第一条ロボットは人間に危害を加えてはならない。またその危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。 第二条ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、このかぎりではない。 第三条ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己を守らなければならない。 アジモフはこれらの三原則に基づいたロボット小説を多数執筆した。本作においてもこの三原則(特に第一条)が大きな役割を果たしている。しかしその主眼は「完全にこの三原則が適用されたらどのような社会となるか」ではなく、「いかにしてロボットにこの三原則を組み入れるか」「三原則を組み入れた場合、どのような問題が起こり得るか」という点にあることに注意されたい(したがって「ダニールが靴屋で暴動を鎮圧するときにとった行動は、いかにして第一条を満たし得たか?」という問いは非常にアジモフ的である)。とにかく『われはロボット』を読もう。 作中で触れられた都市論とその周辺について P36 今日のシティ!~ 本作の舞台が解説される。人口過密をうけ、シティとよばれる超巨大都市があちこちでつくられ、それぞれのシティが自給自足態勢を備えているらしい。また宇宙国家というものもあり、かなり贅沢な暮らしをしている。しかも人口過密の地球からの移民は認めないらしい。(後々移民は認めないのではなく、認めることができなかった、ということが明かされる)ここでは『シティこそ、自然の環境に対する人類の優越の極致を示すものなのだ』とベイリはまだ楽観的である。しかし『一人当りに配給されるカロリー量が基本量を割ってしまう日』が来ることも予想されている。 P54 それぞれ一個のロボットとしては~ 人々のロボットに対する反感が語られる。P10でヴィンス・バーレットがR・サミイに仕事を奪われたと語られたように、人々は自分の仕事がロボットに取って代わられることに恐怖を抱いている。これについては今日AIがどうたらこうたらやっているのと大して変わらない。やっぱり人間っていつの時代も変わらないものなんですね。 P97「わたしの聞いた範囲では~ 宇宙人からすれば、地球がロボットを受け入れることを望んでいる。ここで『人間とロボットの二つを、平等でしかも並列した基準で結合された文化』を表すC/Feが語られる。 P114 一般のシティには夜はない。~ 夜に睡眠をとるという習慣は、人類発生以来の古い伝統を持っているため、たやすく棄てられるものではない。いくら効率化を求めていても、人間の人間たる部分がネックとなって完全な効率化は測れない。アジモフの広い視点が垣間見える設定であると思う。 P179 いわゆる宇宙人の排他主義について~ ここで宇宙人からの視点が語られる。宇宙人は地球のバクテリアやウイルスに耐え切れないために地球人と接触できなかった。さらにシティが極めて不安定なバランスにあることを指摘し、同時に住み心地の良さからシティを離れることができなくなっていることを批判する。過疎社会の宇宙国家でも類似の問題が起こっているらしく、安定しすぎているために宇宙開拓が進まないらしい(あとは宇宙国家には人的資源があまりないため)。そこで地球にC/Fe文化を根付かせ、宇宙を開拓してもらおうと思っている。前半のハイライトとも呼べる部分。 P261 ロボットが人間に似ていなければならない理由はなぜか?~ それぞれの機械に電子頭脳を持たせるよりも、機械は普通のものにして、それを操作するものを機械化すれば安く済む、という考え。現実では人型ロボットを導入するよりも早くルンバなどが導入された。未来予測としては外れてしまったが、論理としてはかなり納得するものである。また、人型ロボットを無批判に導入するのではなく、導入する意味もしっかり考えているのもアジモフのすばらしいところである。 P280 ベイリは無限のエネルギーを持つ地球を想像した。~ ノリスが非常に楽観的な論を展開する中で、ベイリはそれに反論する。単純にエネルギーが無限になれば都市は存続できるわけではなく、人口を分散させる方がはるかに現実的である。実際、そもそもの問題の源がシティの過密にあるわけであるし、過去に宇宙に植民した経験があるのだから、当然の帰結である。この辺りからベイリは明確に宇宙国家の考え方に共鳴していく。 P286 「もちろん、そんなつもりはなかったのさ。~ 『何の害もないロマンチスト』と懐古主義者の性質が語られる。P298で「自分の欠点をシティのせいにしたがる」というようなことを言われ、P302でも『演説は本当はつまらなかったの』と言われた懐古主義者であるが、P361に至り、『いわゆる懐古主義なるものは、開拓への渇望を内在しているのです』と述べられるのが後半の見ものである。 P328 「いいかえれば、現実には不可能な過去に帰れということか」~ 再びベイリの考えがはっきり語られる。しかしただ宇宙国家の考えをなぞるのではなく、『もっと新しく、もっとすぐれた世界』を目指している。さらにロボットへの嫌悪感をあらわにするクロウサーに対し『人間としての能力を持ったロボットを作ることはできない』と述べる。この説得も今日でも通用するものだろう。 P356 「われわれの計画が完了したからです。~ 今回の捜査活動に隠された本当の計画が告げられる。地球の経済変革を内からのものにするため、説得しうる地球人を見つけ出し、援助するつもりだったようだ。結果として、ベイリを説得できた上に、懐古主義者に内在する開拓への渇望を見出すことができ、いままで計画に失敗していた要因も特定することができた。懐古主義者に希望を見出すというのがまたよい終わり方だな、と思う。 感想 想像以上にSFミステリであった。私としては、①解くべき謎が読者に明確な形で提示されていること、②証拠が全て作中で明確に示されていること、③その証拠について解釈の齟齬が生まれないこと、④事件の真相が物語の中で明確に語られていること、⑤事件の真相が論理的に導き出されること、⑥真相の解明において極度に専門的な知識を用いないこと、あたりのすべてを満たしていないと積極的にミステリとは認めたくないが、(つまりはド直球のパズラーでないとミステリと認めたくないが、)この作品ではどれも満たされているため、かなりミステリ的に心の狭い人間にもミステリであると認められるのではないだろうかと思う。 また、本作で外せないのは「もう一つの主人公」ともいえる都市の描写であろう。SF的なガジェットをふんだんに持ち込みながらも、決して現実からは離れすぎない。実際に「立体テレビ」などはそのままテレビ電話として実用化しているし、「高速自動走路」も数は少なく、高速とはいえないものの、動く歩道として実用化されてはいる。(もっとも、作中では高速道路や駅のような役割を果たしているのに対し、現実では歩道の機能の拡張という点で若干性質が異なっているかもしれないが。)作中の都市論は今読んでも興味深く、とても1953年の作品とは思えないほどの出来である。いかにガジェットをふんだんに盛り込もうと、明確に「そのガジェットが導入される動機」「それによってどのような変化が起こるのか」「どのような問題が解消されるか、どのような問題が新たに発生するか」が捉えられていなければ良いSFとは言えないだろう。(そもそも単なる空想だけの話は、ファンタジーであってSFではない。現実に立脚し、そのうえで未来を見せるのがSFなのではないかと思う。)この作品では任意のガジェットにおいてそのすべてが明確化されており、いちいちが的を射ている。さすが2014年の万国博覧会を訪れたアイザック・アジモフという他はない。